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ベトナム人採用時、管理責任者が把握しておくべき重要なポイント

近年、ベトナム人を採用する日本の企業が増えています。

中小企業ではベトナム人の管理は社長が直接行っていることがほとんどですが、大手企業の場合、専門のベトナム人管理責任者を置くところも珍しくありません。

ですが、ベトナム人の雇用管理を長く続けてきた経験豊富な管理者ならともかく、これからベトナム人を受け入れて雇用管理しようと思っている企業の経営者・管理者の方は文化の違う方たちの管理の仕方について、色々な不安や悩みが尽きないと思います。

そこで今回は責任者としてベトナム人を雇用管理する上で気をつけるべき重要なポイントを紹介致します。

■まずは情報を集める
実際にコミュニケーションを取ることも重要ですが、その前にネットでも書籍からでも構いませんので、まずはベトナムとベトナム人について調べましょう。

今はスマホやパソコンを使えばネットからいくらでも情報を得ることができます。
これから雇用管理しようとしている方たちの文化や風土を知ることは非常に大事なことであり、成功への第一歩です。

調べれば調べるほど、ベトナム人の性格、ベトナム文化について理解が深まるでしょう。
そして理解が深まれば深まるほど、実際ベトナム人と接した時に受ける文化の違いによるカルチャーショックを減らすことができます。

ただ、ネット上の情報はそのすべてが正しいとは限りません。できるだけたくさんの情報を集め、すり合わせを行い信頼性の高い情報をインプットする必要があります。

■一定の距離を置く

日本人の中には雇用したベトナム人と仲良くなるために休日一緒に遊びに行ったり、自分の自宅に招待したりして仲を深めようとする方が多いです。

「ベトナム人と早く打ち解けたい」
という気持ちはわかりますし、その気持ち自体は決して悪いものではありません。ですが、お互いのプライベートに深くかかわるやり方はおすすめしません。

デメリットやリスクが大きいのです。

一つ目は「関係悪化リスク」です。
プライベートで仲良くなったり、自宅に招待したりして一時的に仲良くなったとしましょう。ですが、仕事上ではあくまで管理者と従業員です。
雇用関係や業務指導のやり方ひとつで簡単に二人の関係は悪化します。

ベトナム人は日本人スタッフに比べて雇用が不安定です。
特に、問題があったときなどは解雇処分になりやすい立場にあります。
解雇処分になったベトナム人が管理者を逆恨みするケースもあります。
そのベトナム人は管理者に嫌がらせをするかもしれません。

本人への嫌がらせ程度で済めばまだましで、最悪のケースでは自宅や家族に危害を加える可能性もゼロではありません。将来の関係悪化リスクを考えるとプライベートで仲良くなったり、自宅まで招待したりするという極端なやり方は避けたほうがいいでしょう。

また、仲良くなりすぎてしまったせいで逆に管理がしにくくなる場合もあります。というのも、ベトナムは日本では考えられないほどのコネ社会です。日本でいう「えこひいき」がごく当たり前に行われています。

そのため、仲良くなった相手は「自分の事をかばってくれるのが当たり前」と考える傾向にあります。それが例え管理者(上司)でも、です。

しかし、日本ではいくら仲良くなったといっても、上司が特定の部下に対してあからさまにえこひいきすることは考えられませんよね。どんなに仲良くなっても、仕事の上では「悪いことは悪い」「だめなものはだめ」。
そう考える方がほとんどです。ですが、先ほど言ったようにベトナム人は仲良くなった上司は、自分をえこひいきしてくれるのが当たり前だと思っています。

ここにギャップがあります。この考え方を知らない日本人の管理者(上司)が他の人と同じようにそのベトナム人を扱った場合、ベトナム人の感覚からすれば
「仲間に裏切られた」と感じるのです。

例え上司の態度がどんなに公平なものであったとしても、です。こうなってしまうとベトナム人の態度は悪くなり、仕事にも支障が出ます。

以上の理由から、ベトナム人とプライベートで仲良くなりすぎるのはデメリットが大きいです。

仲が悪くなっても仲が良くなりすぎても問題が起きる可能性があります。
あくまで「仕事上のパートナー」と考え、つかず離れずの一定の距離感で接したほうがいいでしょう。

もちろん休日にどこか遊びに出かけたり、飲みに行ったりすること自体は度を越さなければいいと思います。

ですが、万が一関係性が悪化した時などの事を考えて、自宅に招待したり、自宅の住所を教えたりすることに関しては慎重になるべきです。

■冷静に物事を判断すること
日本人は基本的に仕事の上ではとても冷静で、感情的になりにくく客観的に物事を判断ができます。ですが仕事以外の面に関しては、お人よしで情に流されやすいという一面があります。日本に働きに来るベトナム人の多くは「事情」を抱えています。日本に来るベトナム人の不幸な境遇や身の上話を聞いた瞬間に情に流され、冷静な判断ができなくなりほだされてしまう人が多いのです。そんな日本人の「人のよさ」に付け込もうとするベトナム人も多いので注意が必要です。

具体的には
「家が貧乏で借金が多い」
「渡航費をたくさん取られた」
「親が病気で何とかしてあげたいがお金がたくさん必要」
といった「かわいそうな事情」(どこまで本当かもわかりません)を強調し相手の同情を誘うのです。

情に脆い日本人がその「かわいそうな事情」を信じたところで
「残業をたくさんしたい」
「給料をアップしてほしい」
と自分にとって都合の良い要求をしだすのです。

もちろん本当に事情のある人もいます。
ですがどれが本当でどれが嘘かなんてわかりませんし、本当だったとしても個人の事情をいちいち汲み取っていたら他の人に示しがつきませんし、仕事になりません。きりがないのでこういう話を振られたときは適当に聞き流しておきましょう。

■お金の貸し借りはしない
ベトナム人相手に限りませんが、お金の貸し借りは絶対にやめましょう。先ほどの事情の時もそうですが日本人は通常とても冷静です。
日本人同士なら例え友人でもそう簡単に大金を貸したりはしないでしょう。なのに、なぜか日本人以外に対しては比較的簡単にお金を貸してしまうのです。私はベトナム人に数百万を貸して逃げられたというケースを何人も見てきました。
当然貸した日本人はその後ベトナム人やベトナムのことを嫌いになってしまいました。
お金を借りて逃げたベトナム人が最初からだますつもりだったのか、魔が差したのかはわかりません。ですがこの問題は最初からお金を貸さなければ起こらなかったことです。

例え1万円でもお金を貸してはいけません。
絶対にやめましょう。

■保証人にはならない

当然ですが、保証人になることも絶対にやってはいけません。ベトナム人であろうが日本人であろうが、保証人になった場合、本人が逃げたら債務の責任はすべて保証人が負うことになります。これが逃げたのが日本人ならまだ捕まえることも可能です。
何億円も持っていない限り日本国内には必ずいるはずですので、友人や親せきをたどっていけば見つかるかもしれません。
しかし、ベトナム人の場合、帰国されてしまえば探すことも捕まえることもほぼ不可能です。
海外の人の保証人になるのは日本人相手以上に大きなリスクが伴います。
絶対に保証人にはなってはいけません。

■さいごに
今回は、ベトナム人を管理する際に責任者が把握しておくべき重要なポイントを紹介しました。本当はもっともっと伝えたいポイントがあるんですが、すべて書くと分厚い本が1冊出来上がってしまいますので、今回はざっくりと要点だけ解説しました。

最後に一つ私から重要なアドバイスをお伝えします。
もしあなたがベトナム人の管理者になった時、できれば自分一人で何とかしようとしないでください。「餅は餅屋」ということわざがあります。
ベトナムやベトナム人に詳しい専門家に相談して、適切なアドバイスを求めてください。
ベトナム人を部下として管理する場合、今回解説した以外にも様々な注意点があります。
相手は育ってきた環境も考え方も文化も違います。
日本人の感覚で管理しようとすればギャップによる様々な問題やトラブルが起こります。
そんなトラブルを未然に防ぐためにも、ベトナムやベトナム人について何かお困りの際は、是非私にご連絡ください。

ライター 弊社代表、チャン・バン・クエン

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