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外国人雇用で知っておきたい「労働基準法違反」となる行為と罰則

外国人を雇用するときには、どうしても日本人とは異なる取扱いをしてしまう企業が多くなっています。しかし外国人労働者にも人権はありますし、労働基準法などの法律も適用されます。

企業が外国人労働者の人権を無視した対応をしていると、企業自身や経営者、役員などが処罰される可能性もあるので要注意です。

今回は外国人を雇用する企業であれば押さえておきたい「労働基準法違反」となる行為や罰則、最低賃金に関する規制について解説していきます。

1.労働基準法で禁止されている行為

労働基準法は労働者の権利を守るための法律です。日本人だけではなく日本で働く外国人労働者にも適用されます。労働基準法違反の行為をしていると、企業は「労働基準監督署」によって立入検査を受けたり指導勧告を受けたりしますし悪質な場合、裁判になって刑事罰を受ける可能性もあります。

法律違反にならないよう、注意しなければなりません。

以下でどのような行為が労働基準法違反となるのか、みていきましょう。

1-1.賃金不払い

賃金は、毎月1回以上、現金で労働者本人に対し、全額を払わねばなりません。遅配したり他の人に預けたりすると、労働基準法違反です。

罰則は30万円以下の罰金刑です。

1-2.給料からの天引き

外国人労働者を雇用するとき、当初に生活費などのためにまとまったお金を貸し付けて、返済させる企業があります。ただし返済の際に給料から返済金を天引きすることは認められません。給料は、常に「全額払い」する必要があるからです。

同じように「違約金」を天引きすることもできませんし、労働者が会社に迷惑をかけたからと言って「迷惑料」を引くことも認められません。

罰則は30万円以下の罰金刑です。

1-3.残業代不払い

外国人労働者に残業をさせたら、きちんと割増賃金を払わねばなりません。割増率は以下の通りです。

  • 時間外労働…25%増し
  • 深夜労働…25%増し
  • 休日労働…35%増し
  • 時間外かつ深夜労働…50%増し
  • 時間外かつ休日労働…60%増し

残業代の支払をしないと6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となります。

1-4.強制労働

強制労働は労働者の権利を強く侵害するので、厳しく禁止されています。たとえば外国人労働者のパスポートを預かって無理矢理働かせると、強制労働として労働基準法違反となります。

罰則は1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金刑です。

1-5.休日を与えない

外国人労働者だからといって、土日祝関係なく毎日働かせるのは違法です。毎週1回は必ず休日を与えなければなりません。これを「法定休日」と言います。

法定休日を与えなかった場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となります。

1-6.有給休暇を取らせない

外国人労働者であっても、6か月以上働いた場合には有給休暇を与えなければなりません。有給は正社員だけではなくアルバイトやパート、契約社員などにも与えられます。特に2019年4月からは、年5日以上の有給の付与が義務となります。

労働者から要求があるのに有休を取らせない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となります。

1-7.休憩を取らせない

外国人労働者に休憩無しにぶっ続けで働かせる企業がありますが、そのような取扱いは違法です。労働基準法は、以下の通り労働者に休憩を与えるよう定めています。

  • 労働時間が6時間を超える場合…45分以上
  • 労働時間が8時間を超える場合…60分以上

休憩時間を与えない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑となります。

1-8.労災隠し

外国人労働者を危険な作業に従事させているケースなどでは、事業所内で事故が発生してしまうこともあります。そのような場合、企業は労基署に速やかに労災事故が発生したことを報告しなければなりません。

また労働者が労災保険を受けられるように協力すべきです。もちろん外国人労働者を雇うときにも「労災保険」に加入しておく必要があります。

事業所で労災事故が発生したのに労基署へ報告せず労災隠しをすると、労働基準法違反となります。

罰則は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

1-9.違法な長時間労働

外国人労働者だからといって、法定労働時間を無視して長時間労働させる企業もありますが、これも違法行為です。

労働基準法は、1日8時間、1週間に40時間の基本となる「法定労働時間」を定めています。雇用者が労働者をこれより長く働かせる場合には、労働組合などの代表者との間で「36協定」という協定を締結し、労基署へ提出する義務があります。

また36協定を締結した場合でも、基本的に1か月に45時間以上の時間外労働は認められません。(超える場合には「特別条項」の設定が必要です)

これらの定めを破った場合、6か月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑が適用されます。

 

2.最低賃金法で保障される労働者の最低賃金

外国人労働者を採用する企業の中には「外国人だから安く使えるはず」「最低賃金以下で雇いたい」などと考えるものがありますが、そのようなことは認められません。「最低賃金法違反」となってしまいます。

最低賃金は地域や年度に応じて変わるので、それを下回らないようにしましょう。

最低賃金法違反の罰則は50万円以下の罰金刑です。

 

3.パスポートの預かりについて

外国人労働者を雇用するとき、パスポートを預かる企業があります。

しかし入管法は、外国人労働者のパスポートは基本的に本人が「常時携帯する」ことを義務づけています。外国人登録証がある場合、そちらを常時携帯すればパスポートを常時携帯する必要はなくなりますが、パスポートの預かりによって本人に労働を強制しているとみなされると労働基準法違反の「強制労働」と判断される可能性があります。

パスポートは基本的に預からず、預かるとしても本人の申出がある場合に限りましょう。またきっちり預かり証を作成し、本人から返還の申出があったら速やかに返還する体勢を整えるべきです。

外国人労働者を雇用するときであっても、日本人労働者と同じように労働関係法令が適用されます。今後の雇い入れや取扱いの際の参考にしてみてください。

ライター 福谷陽子

過去に10年間弁護士経験があり、現在はその法的知識を活かしてライターを行っている。労働関係や外国人の人権問題に詳しく、現役時代には多くの労働関係の交渉、訴訟などを取り扱っていた。現在も各種の労働関係メディアを始めとして、不動産や相続、交通事故などのメディアで執筆活動を続けている。

 

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